本日ここに、第467回白石市議会定例会が開催されるにあたり、ご審議いただきます諸議案の説明に先立ち、令和6年度の市政運営に対する基本方針について、所信の一端を申し述べ、議員各位をはじめ市民の皆さんのご理解とご協力をたまわりたいと存じます。
まず冒頭に、令和6年能登半島地震によってお亡くなりになられた方々に謹んでお悔みを申し上げますとともに、被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。
本市もこれまで、東日本大震災をはじめとするさまざまな災害の際には、全国から温かいご支援をいただいておりますので、できる限りの支援を行ってまいります。
被災地が真に必要としている支援を行うため、現在全国知事会が中心となって、各自治体が行う支援の内容を調整していますが、本市も支援物資、職員派遣に積極的に協力する意向を表明しており、既に職員の派遣も決まっております。
また、地震発生直後から市内公共施設に募金箱を設置し、市民の皆さんからの温かいお気持ちが寄せられております。
東日本大震災を経験した自治体として、震災の経験を活かし、市民の皆さんとともに、被災地に寄り添った支援を継続的に続けてまいりますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
本市は、令和6年4月1日に市制施行70周年を迎えます。これまでふるさと白石市を守り続けてこられた皆さんに改めて敬意を表しますとともに、愛する白石市を次の世代に繋いでいく決意を新たにしております。
本年10月に、地震被害からの復旧工事を終えるホワイトキューブのコンサートホールにおいて、記念式典を開催するほか、年間を通じて各種記念事業を行いますので、市民の皆さんとともに、この記念すべき70周年をお祝いしたいと思います。
さて、ロシアによるウクライナ侵攻は、国際的な原材料価格の高騰をもたらすとともに、円安の影響などから、日常生活に密接なエネルギー・食料品などの価格上昇が続いており、市民生活に深刻な影響を及ぼしています。
こうした事態に対処するため、本市では、エネルギー・食料品価格などの物価高騰対策として、低所得世帯を支援する「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金事業」や全市民を対象とした「商品券配布事業」をはじめ、給食用食材仕入れ価格の値上がり分を補助する「学校給食費補助事業」や医療機関などに財政的支援を行う「医療機関等に対する物価高騰対策支援事業」を実施してきました。中東情勢の混迷が深まるなど世界情勢が不安定となる中で、先を見通すことが難しい状況にありますが、今後も市民生活と地域経済を守るために必要な施策を進めます。
令和6年度は、「第六次白石市総合計画」の4年目となります。引き続き、本市の目指す将来像「人と地域が輝き、ともに新しい価値を創造するまち しろいし」の実現に向けて、「ひとづくり」「地域力の向上」「新しい価値の創造」を基本的視点として、市民一人一人がその個性や能力を発揮しながら、地域づくりの担い手として活躍するとともに、新たな視点でさまざまな地域資源や魅力を発見し、育て、高め合うことで、新しい価値を創造し、まちへの誇りと愛着を持って暮らしていくことができるまちを目指します。
人口減少や少子高齢化、安全・安心への関心の高まり、社会経済情勢の変化、地域社会ニーズの多様化、持続可能な社会の実現など、まちづくりを取り巻く環境は大きく変化していますが、市政課題を先送りすることなく、本市が持続可能なまちであり続けるために、市民の皆さんと力を合わせて、新しい時代のまちづくりに積極果敢に挑戦してまいります。
以下、「第六次白石市総合計画」に掲げる6つの分野目標に沿って、主な施政の概要をご説明します。
はじめに、「第六次白石市総合計画」の1つ目の分野目標の「人・文化を育む」です。
【1-1 学校教育の充実】
本市においても、人口減少・少子化が急激に進行していることから、今後の保育や学校教育のあり方を総合的に検討する「学校教育・保育審議会」を設置し、審議を重ねていただいた結果、昨年「幼児教育・保育」と「小中学校教育」のあり方について答申を受けました。答申を市民の皆さんに広く知っていただき、ご意見を頂戴しながら、本市の幼児教育・保育や小中学校教育のあり方を検討し、方針を策定していきます。
不登校対策の柱の一つとして昨年4月に開校した学びの多様化学校「白石きぼう学園」は、不登校に悩む児童生徒が、自分のよさや特徴に気付き、社会的自立に向かうことができる学校として、引き続き教育支援センターをはじめ、家庭や地域、企業、行政が連携・協働した教育活動を推進していきます。
学校教育の充実は、令和元年度から「教育改革元年」「教育改革第2ステージ」を掲げて取り組んできた教育改革をさらに強力に推進します。
教育改革のスタートから5年、子どもたちの基礎学力は確実に向上しています。令和5年度の全国学力学習状況調査では、市内小中学校の平均が県平均以上となり、全国平均を超える学校も出てきました。現在、本市の小中学校の学力は、間違いなく県の上位に位置するまでに向上していますので、令和6年度は、この教育改革をさらにバージョンアップし、「教育改革3.0」として取り組んでいきます。
新年度から教育施策を推進する体制を強化するため、教育委員会に「教育部」を新設するとともに、保育園を教育委員会所管として、一元的に幼児教育・保育を担うため、「こども未来課」を新設します。これにより、幼児期の教育の充実を目指すとともに、令和4年度から取り組んでいる「幼保小の架け橋プログラム」の実践・検証を進め、より円滑な幼保小の接続、学びの連続性を踏まえた架け橋期のカリキュラムの開発・充実を図ります。
また、教育課題の解決や取り組みの一層の進展に向け、「地方教育アドバイザー」制度を活用し、対応・対策を進めます。
さらに、1人1台端末の活用を前提とした教育政策が加速していく中、「文部科学省CBTシステム(MEXCBT(メクビット))」を利用して、全国学力・学習状況調査の一部や本市独自の学力・学習状況調査を実施するとともに、本市で導入したAIドリルとMEXCBTの連携による教育データを利活用した学びの実現を図ることでで、子どもたちの「個別最適な学び」を充実させるなど、教育分野のDXをさらに推進していきます。併せて、特別支援教育においても、教育支援ソフトを導入し、児童生徒へのきめ細やかな教育を強化していきます。
加えて、本市のすべての子どもたちが将来の夢や志を叶える力を身に付けられるよう、本市独自の学力・学習状況調査を活用した児童生徒一人一人の学力の伸びの把握や、「非認知能力・学習方略」の育成など、これまでの取り組みを継続しつつ、「白石市教育アドバイザー」の支援をいただきながら、学習指導の改善・充実による学力向上を図っていきます。
併せて、オンラインも含めた国際交流を計画的に実施し、令和3年度からスタートした「英語特区」の取り組みをより一層充実させるとともに、引き続き英検・漢検・数検の受験料の2分の1補助を無制限で実施します。
【1-2 地域・家庭の教育力の向上】
地域・家庭の教育力の向上は、地域学校協働本部を中心に、地域・家庭・学校が連携して、未来を担う子どもたちを見守り、支えながら、子どもたちの次世代を生き抜く力を育みます。
また、地域学校協働活動に関わる地域住民や各種団体の主体性を育み、地域全体の教育力の向上と地域力の活性化を図ります。
【1-3 生涯学習・スポーツの推進】
生涯学習・スポーツの推進は、公民館を拠点に豊かな社会生活を送ることができるよう、市民の興味や関心に応じた学びを支援するとともに、市民の皆さんが地域の課題に気付き、仲間とともに学び、課題の解決に向けた行動につなげていけるような共同学習を支援し、住民自治力を育みます。
また、豊かな社会生活を送るうえで、一人一人が自らの興味や関心、体力に応じてスポーツに親しむことは、現在と将来における人・文化の育みにとって重要な事項の一つです。このため、既存のスポーツ関連資源を活用するとともに、昨年3月に設立された白石市総合型地域スポーツ・文化クラブの活動を支援するなど、生涯スポーツを楽しむことができる環境の充実を図ります。
【1-4 歴史遺産・伝統文化の継承と活用】
歴史遺産・伝統文化の継承と活用は、観光資源としての活用が期待でき、地域の個性や独自性、アイデンティティを示すものとして重要です。このような観点から、地域の歴史遺産・伝統文化を掘り起こし、市民に対して魅力を発信する取り組みを進めます。取り組みを進めるにあたっては、幅広い世代への情報発信を意識し、シビックプライドの向上を図ります。
次に、2つ目の分野目標の「みんなで地域づくりを進める」です。
【2-1,2 これからの時代に対応したコミュニティの形成・持続可能な多機能型自治の形成】
これからの時代に対応したコミュニティの形成と持続可能な多機能型自治の形成は、まちづくり協議会の機能・経営基盤の強化を支援するとともに、地域マネジメントをリードする人材の育成に努めます。
また、多機能型自治を促進するための研修会の開催や関係者の相互交流機会の創出を図ります。
【2-3 協働のまちづくりの推進】
協働のまちづくりの推進は、各地区で策定した「まちづくり宣言」の実現を目指すことで、地域づくり人材の育成や住民自治力の向上を図り、持続可能な地域づくりを推進します。
また、まちづくり宣言の実施計画である「地区計画」がすべての地区において策定できるように継続した支援を行うとともに、「地区計画」を策定した地区が活用できる「人と地域が輝く未来共創交付金制度」により、地域住民の皆さんが思い描く地域の将来像の実現を支援します。
【2-4 市民と行政の情報の共有化】
市民と行政の情報の共有化は、市内外から注目の集まる市制施行70周年を迎える本年を「情報発信力強化元年」と位置付け、インスタグラムなどのSNS情報発信強化と子育て支援サブサイトのリニューアルなどを行い、子育て支援に軸を置いた情報発信強化を図ります。
【2-5 持続可能な行財政運営】
持続可能な行財政運営は、国が策定した「デジタル社会の実現に向けた重点計画」「自治体DX推進計画」、令和5年3月に策定した「白石市デジタル化推進方針」を踏まえ、デジタル技術を活用した効率的で効果的な事務事業の実施を推進するほか、令和7年度末までに移行が義務付けられている標準仕様システムに対応するため、業務の見直し・再構築の検討を行うとともに、行政手続きのさらなるオンライン化、窓口でのキャッシュレス決済などを進め、利便性を実感できる住民サービスの実現を図ります。
自主財源の根幹をなす市税は、公平性・公正性を確保するため、適正な課税を行うとともに、納税環境の整備を図りながら、効果的な納税催告を実施し、収納率の向上に努めます。
また、「ふるさと納税寄附金」は、取扱事業者や返礼品の拡充、寄附者の手続きの効率化を図るとともに、白石市の魅力を発信するシティプロモーションと捉え、本市や本市産品の魅力を全国に発信してまいります。
さらに、「企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)制度」は、企業の皆さんとのパートナーシップのもと、地方創生につながる事業を公民連携により進めます。
【2-6 社会の変化に対応できる職員の育成・確保】
社会の変化に対応できる職員の育成・確保は、「メンター制度」を継続して、若手職員の育成強化を図るとともに、自己啓発や専門的職務能力向上のため、庁内研修や外部研修を実施し、地域社会を取り巻く環境の変化に迅速かつ的確に対応できるよう、職員一人一人の能力向上を図ります。
次に、3つ目の分野目標の「暮らしをともに支え合う」です。
【3-1 地域福祉の推進】
地域福祉の推進は、令和7年度までを計画期間とする「白石市地域福祉計画」の進捗管理・評価を実施し、次期計画に反映させるとともに、地域共生社会の実現に向けて、地域福祉を構成する地域住民や社会福祉協議会などの関係団体との連携体制を確保・強化し、引き続き協働の仕組みづくりを推進します。
【3-2 子ども・子育て支援の充実】
子ども・子育て支援の充実は、新年度から保健福祉部に「子育て支援課」を設置するとともに、子ども家庭総合支援拠点と子育て世代包括支援センターを統合した「こども家庭センター」を設置し、すべての妊産婦、子育て世帯、子どもに対して、母子保健・児童福祉の両機能が一体的に相談支援を行う機関として、さらなる充実と強化を図ります。
また、新たな子ども・子育て支援事業計画は、今後の子ども・子育て支援事業の方針やサービス量の見込み、提供体制などの各種取り組みを検討した上で、市の特性を反映した実行力のあるものとし、より一層、妊娠期から子育て期までの切れ目のない相談支援体制を強化するとともに、子育て支援事業の充実を図ります。
さらに、すべての子どもたちが、生まれ育った環境に左右されることなく、将来の自立に向けて生き抜く力を育むため、公益財団法人日本財団や特定非営利活動法人アスイクと連携し、食事、学習・生活習慣の定着、体験機会を提供する「子ども第三の居場所事業」の充実に努めます。
加えて、子どもの医療費に係る経済的負担を軽減する医療費助成制度は、これまで対象年齢を15歳の年度末までとしておりましたが、より一層安心して必要な医療を受けられるように、令和7年4月診療分から18歳の年度末までに拡充します。令和6年度は、その準備として制度の構築や周知などに着手します。
子育て世帯向けの定住支援は、「白石市子育て応援住宅基金」を活用した「白石市子育て応援住宅入居者向け定住促進補助金」による住宅取得支援を継続します。
【3-3 高齢者福祉の充実】
高齢者福祉の充実は、新たに策定する「白石市高齢者福祉計画・第9期介護保険事業計画」に基づき、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、より一層の介護予防事業や認知症施策、高齢者福祉サービスの推進を図り、さらなる高齢者の健康寿命の延伸に努めます。
【3-4 障がい者福祉の充実】
障がい者福祉の充実は、「障がいのある人の“自分らしく生きる”を支援する」インクルーシブ社会の実現を目指して、令和6年度を初年度とする「第4期白石市障害者計画」「第7期白石市障害福祉計画」「第3期白石市障害児福祉計画」を策定し、一人一人の個性や能力が発揮され、活躍できる地域社会づくりを進めます。
【3-5 地域医療体制の充実と健康づくりの推進】
地域医療体制の充実と健康づくりの推進は、地域医療の安定と充実のため、昨年4月から公立刈田綜合病院を白石市立の病院として指定管理者制度を導入し、病院運営を行っています。令和6年度からは、「公立刈田綜合病院経営強化プラン」に基づき事業を推進し、指定管理者と市がしっかりと連携しながら、今後も地域住民のための信頼される病院としての役割を果たしていきます。
また、高齢者が可能な限り自宅などの住み慣れた生活の場で自分らしい暮らしを送れるよう、在宅医療の充実のためのさまざまな支援を行います。
さらに、白石市医師会や仙南歯科医師会白石支部とさらなる連携を図るとともに、安全・安心な医療の提供体制強化に努めます。
国民健康保険事業の効率的運営は、被保険者が減少する中での「保険税水準の統一化」などの課題に関する協議を、県や県内他自治体とともに継続して行います。
また、1人当たりの医療費は増加傾向が続いていることから、適正受診や適正服薬の啓発など、医療費の適正化に努めます。
さらに、被保険者の健康の保持・増進を図るため、特定健診・保健指導の受診勧奨と重要性の啓発に努めるとともに、糖尿病性腎症の重症化予防に取り組みます。
歯科保健は、歯を失う原因となっているむし歯と歯周疾患の予防と早期発見のため、30歳から70歳まで5歳刻みの年齢に実施していた歯周病検診の対象に20歳と25歳を加え、若い世代から歯や口腔の健康の保持・増進につなげます。
次に、4つ目の分野目標の「安全・安心を守る」です。
【4-1 防災・減災対策の充実】
防災・減災対策の充実は、「白石市地域防災計画」に基づき、東日本大震災や令和元年東日本台風などの災害を教訓として、さらなる防災体制の充実に努めるとともに、地震や台風、集中豪雨などのさまざまな災害への対応に万全を期し、災害に強い安全・安心なまちづくりを進めます。
また、災害時のみならず、「北朝鮮による弾道ミサイル発射情報」や令和4年12月から運用が開始された「北海道・三陸沖後発地震注意情報」など、あらゆる情報の迅速な収集と伝達の強化に取り組みます。
さらに、昨年11月に宮城県が公表した「第五次地震被害想定調査」の結果を踏まえて、地震対策の強化・充実を図るとともに、必要な備えなどの周知徹底を図り、市民のさらなる安全確保と防災意識の高揚に努めます。
加えて、災害発生時には、避難を要する住民の安全・安心を確保する必要があることから、総合防災訓練を継続実施し、「避難所開設・運営マニュアル」に基づく円滑な避難所の開設・運営ができるよう取り組みます。
【4-2 交通安全・防犯対策の充実】
交通安全・防犯対策の充実は、交通ルールの遵守やマナー向上を図るため、引き続き交通安全関係団体と連携し、交通安全指導を実施するとともに、子どもや高齢者の交通事故を未然に防止するため、交通安全教室の開催や交通安全キャンペーンなどの啓蒙活動を実施します。
【4-3 地域における防災力の強化】
地域における防災力の強化は、市民一人一人が「自らの命は自ら守る」という意識を持ち、「自助」である災害への備えと、「共助」である地域住民同士での助け合いが災害発生時の被害軽減には必要不可欠であることから、引き続き自主防災組織への支援を継続するなど、地域防災力の向上を目指します。
【4-4 消費者行政の推進】
消費者行政の推進は、複雑化・多様化する消費生活相談に対応するため、消費生活相談員の知識と技能習得を支援し、相談対応機能の向上を図るとともに、特殊詐欺や悪質商法などの被害を防止するため、広報紙やSNSなどを活用した情報提供と世代に応じた啓発活動に努めます。
次に、5つ目の分野目標の「活力・賑わいを創る」です。
【5-1 農林業の振興】
農林業の振興は、農林業従事者の高齢化率が高く、今後さらに、人口減少・少子高齢化が進む中で、労働力不足や食糧自給率の低下が予想されることから、実質化した「人・農地プラン」を基に、地域農業の将来のあり方を示す「地域計画」を令和6年度末までに市内9地区で策定します。本市のモデル地区として令和5年度中に地域計画を策定する越河地区の内容を参考にしながら各地区での話し合いを進め、生産コストの削減や環境負荷低減、省力化につながる農用地の効果的な利用と農地の流動化を図り、「農地中間管理事業」による農地集積を推進することで、生産基盤の強化と耕作放棄地の発生防止に努めます。
また、地域ごとの特産品の生産体制づくりや鳥獣対策など、地域農業の維持・発展につながる農地活用を「まちづくり」としてとらえ、新たな地域農業の取り組みを推進します。
さらに、新型コロナウイルス感染症拡大により、落ち込んだ米の需要は改善傾向にあるものの、コロナ禍以前の水準には回復しておらず、主食用米からの作付け転換を求められる面積は増加しています。本市は畜産農家が多く、飼料用米の受入れの需要があることから、飼料用米への作付け転換を支援するために導入した、ジャイロレーキやロールベーラーなどの共同利用機械を活用し、コスト削減と作業の効率化を推進することで農家を支援し、「耕畜連携」による稲作農家の所得向上を図るとともに、畜産農家の国産飼料確保に努めます。
農林産物の高付加価値化は、「宮城白石産ササニシキ復活プロジェクト」を引き続き支援するとともに、「白石三白野菜」をはじめとする農林産物と6次化商品の情報発信を積極的に実施し、ブランド化を推進します。
また、農産物等販売施設「おもしろいし市場」は、平成31年4月のオープンから令和6年1月末までの期間で190万人を超える方々に利用いただいており、農業生産者や物産事業者にとって販路拡大を実感できる施設として好調な運営を維持しています。令和3年4月からは、民間事業者のノウハウや経営手法を活用する指定管理者運営施設としてスタートしており、今後も、自立した運営と維持管理を図ります。
さらに、「しろいし SunPark(サンパーク)」内の3つの施設で組織する「しろいし SunPark運営協議会」の事業として、地域食材の魅力を発信するための食育事業やイベントに取り組み、「こじゅうろうキッズランド」「みのり Kitchen」と連携した賑わいづくりを積極的に実施します。
加えて、食の安全や栄養成分を調査分析する研究施設「みのり Labo」、6次産業化加工施設「みのり Factory」と連携して安全・安心な食づくりを推進します。今後一層の農林業の振興と6次産業化の促進を図るため、施設ごとの魅力の向上に取り組むことで、さらなる賑わいの相乗効果を生み出し、市全体にさまざまな波及効果が広がるよう、各施設との連携を推進します。
森林の保全は、水源の涵養、山地災害の防止などの公益的機能の発揮、温室効果ガス削減に資するため、森林環境譲与税などを活用し、森林資源の維持や多面的機能の持続的発揮・促進を図ります。
有害鳥獣対策は、野生イノシシによる農林作物への被害がいまだに大きいことから、捕獲による個体数の調整を行うとともに、電気柵などの設置や箱わな製作への補助を継続し、被害防止対策の強化に努めます。
また、ニホンザルによる農林作物への被害が増えていることから、正しい防除の啓発を行うとともに、サルわなの貸し出しを実施し、捕獲による群れの調整を行うことで、ニホンザル被害防止対策の強化に努めます。
【5-2 商工業の振興】
商工業の振興は、新型コロナウイルス感染症やロシアのウクライナ侵攻の影響により、市内経済は非常に厳しい状況にありますが、株式会社トーキンの仙台事業所から白石事業所への本社移転と機能集約や株式会社パルタックも大規模最先端物流センター増設を行うなど、明るい兆しも出てきていることから、白石市企業立地促進条例に基づく「企業立地優遇制度」により、投資を促進するとともに、令和6年度も引き続き企業訪問を実施し、既存企業に対する情報提供やサポート体制の強化など、事業活動支援の充実を図ります。
また、仙台南部工業団地の企業募集を開始していることから、新たな誘致を推進するため、企業立地セミナーへの参加や企業訪問などを通じてトップセールスを行い、本市の立地環境や投資環境の優位性などを積極的にPRします。
賑わいのある商店街の再生は、商店街活性化事業への助成や各種観光施策との相乗効果で、中心市街地の賑わいの創出を図ります。
中小企業の経営支援は、「白石市中小企業振興資金融資制度」を活用して、中小企業の経営安定化や振興発展に努めるとともに、信用保証料を補給することで、負担軽減を図ります。
また、市制施行70周年記念事業として実施する全日本こけしコンクールや弥治郎こけし村開村30周年記念事業などのイベントを契機として、弥治郎こけし、白石和紙、白石温麺などの伝統工芸品・特産品の販路拡大や、継承・発展に対する取り組みを支援します。
【5-3 観光の振興】
観光の振興は、海外からの外国人観光客の受入れや全国各地でイベントが再開されるなど、観光需要の回復が大いに期待されます。本市も、この機会を逃すことなく、国内外から多くの集客を図るため、さまざまな媒体を活用し、効果的な情報発信を目指します。
インバウンドの推進は、白石城での外国人向けの本格甲冑体験など、ここでしかできない体験をアピールポイントとし、外国人観光客の集客を図ります。特に、仙台空港との定期便運航を再開した中国や台湾などに向けて、積極的に情報発信を行います。
【5-4 雇用・就労支援の充実】
雇用・就労支援の充実は、国の認定を受けた「白石市創業支援等事業計画」に基づき、関係機関と連携して「創業塾」を開催し、創業の後押しとスキルアップの機会を提供するとともに、商店街再生にもつながる「空き店舗等対策事業補助金」の活用などを通して、創業を目指す方々への支援を行います。
【5-5 交流活動の促進】
登別市・海老名市・札幌市白石区との姉妹友好都市交流は、引き続き白石市姉妹友好都市交流協会と連携し、次世代を担う青少年のスポーツ・文化活動の親善交流をはじめ、文化・教育・物産など多分野にわたる市民相互の交流を推進します。特に、本年は、海老名市との姉妹都市提携30周年を迎えることから、市民訪問団の派遣や式典の開催などの記念事業を実施します。
関係人口の創出は、国の「地域活性化起業人制度」に基づき、企業からの社員の派遣を受け入れ、企業の持つノウハウや知見を活かしながら、地域独自の魅力や価値の向上につながる取り組みを進めるとともに、企業との包括連携協定に基づいた公民連携事業に取り組むことで、市内外を巻き込んだシティプロモーションの推進を図ります。
多文化・多世代の共生、多様性を認め合う取り組みは、令和6年度を初年度とする「第3次白石市男女共同参画基本計画」に基づき、男女があらゆる分野やさまざまな場面でその能力を発揮し、お互いを尊重し合い、共に支え合いながら、誰もが生涯にわたり自分らしく安心して暮らしていくことができるまちを目指します。
また、多様な女性活躍の推進を図るため、「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」への参画を継続するとともに、男性も女性も誰もが働きやすい職場環境づくりを推進するため、宮城県と連携し、ワーク・ライフ・バランスに配慮と理解のある経営者や上司、いわゆる「イクボス」の普及を促進します。
【5-6 移住・定住の促進】
移住・定住の促進は、豊かな自然環境や交通アクセスの利便性など本市の魅力を発信して関係人口の拡大を図り、引き続き「定住者補助金」などの住宅支援事業を継続するとともに、「白石市移住交流サポートセンター」を中心に、移住・定住に係る相談活動や移住体験住宅の活用を図り、地域住民・移住者・若者世代などの交流の場づくりを促進します。
また、令和5年度に創設した「結婚新生活支援事業補助金」を活用し、住宅の取得・賃貸借などに係る費用を助成することで、若い世代の婚姻に伴う新生活を支援します。
最後に、6つ目の分野目標の「まちの未来を描く」です。
【6-1 豊かな自然環境の維持】
豊かな自然環境の維持は、地球温暖化対策の推進として、公共施設の照明LED化や温室効果ガス排出量の集計・管理を行い、温室効果ガスの削減に取り組みます。
また、「カーボンニュートラル」「脱炭素社会」の実現に向けて、「第3次白石市地球温暖化対策実行計画(事務事業編)」の見直しとともに、事業者・住民などの取り組みを含めた区域全体の温室効果ガスの削減計画となる「地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」の策定を進め、具体的な取り組みを検討し、将来にわたり安全で安心して暮らしていくことができるよう「ゼロカーボンシティ」の実現を目指します。
さらに、「第3次白石市環境基本計画」に基づき、本市が目指す環境の将来像「水とみどりを誇るまちしろいし」を実現するため、昨年制定した「白石市自然環境等と再生可能エネルギー発電事業との調和に関する条例」に基づき、自然環境と生活環境に配慮した事業を推進し、持続可能な循環型社会の構築に努めます。
放射能対策は、現在も除去土壌などの除染廃棄物を保管していることから、引き続き埋設箇所と仮置場の適切な維持管理を行うとともに、国の責任のもとに除染廃棄物を早急に処分するよう、強く求めてまいります。
【6-2 快適な生活環境の構築】
快適な生活環境の構築は、水道事業における「白石市水道ビジョン」の基本理念に基づき、「安全・安心で将来に受け継げる水道」のため、適正な施設管理を継続して進めるとともに、少人数での運営体制に対応するため、引き続き民間事業者の積極的活用を図ります。
また、老朽化した水道施設の耐震化を図るため、国の補助事業を活用し、白石第一小学校北側、県道白石柴田線の配水管更新工事を実施するほか、漏水の発生が多く見られる幸地区や大鷹沢大町地区の老朽管更新工事を行い、安定した給水を確保します。
さらに、自己水源の活用と愛宕山配水池施設の統廃合に向け、送水管布設工事を進めます。
下水道事業は、「白石市下水道ビジョン」に掲げた基本理念「安全で快適な生活環境の構築に貢献する下水道」の実現を目指し、「雨水管理総合計画」「内水浸水想定区域図(内水ハザードマップ)」策定のため、昨年度の調査に引き続き浸水シミュレーションなどの検討を行い、雨水のソフト対策などの拡充を目指します。
また、ストックマネジメント計画に基づく管路の修繕工事を行うほか、マンホールポンプ監視通報装置の更新を実施し、施設の維持と管理体制の充実を図ります。
上下水道事業は、人口減少による収益の減少と施設更新による費用の増加から厳しい経営状況にあり、令和3年度に策定した「経営戦略・中期経営計画」は令和7年度までの計画であることから、令和6年度から次期計画策定などに着手し、今後の建設改良工事計画や料金体系を検討・精査し、財政収支計画の見直しを行い、財務体質の強化に向けた取り組みを進めます。
また、事業の合理化・効率化を図るため、県内や仙南地域での広域化・共同化の検討を積極的に進め、広域連携を推進します。
空き家対策の推進は、引き続き「空き家バンク制度」の周知と活用を図りながら、空き家などの適切な管理の促進や有効活用を進めます。
【6-3 道路・公共交通の整備】
利便性の高い公共交通網の確保は、通院や買い物など市民の日常生活の移動手段となる市民バスや乗合タクシーの運行を継続し、より効率的で効果的な運行に努め、引き続き便利で快適なまちを目指すとともに、「白石市地域公共交通計画」に基づき、将来にわたって市民が安心して暮らし続けることができる公共交通の確保に努めます。
また、既存の公共交通では対応できない山間地域などにおける住民主体の新たな移動・外出サービスの整備に向けて、「人と地域が輝く未来共創交付金」に住民主体の地域内交通事業の枠組みを追加し、地域内交通の課題解決に向けて、住民が主体的に実施する活動を支援します。
【6-4 魅力ある都市空間の整備】
魅力ある都市空間の整備は、市中心部の交通ネットワーク機能の強化と通学路の安全確保を図るため、令和5年度から都市計画道路白石沖西堀線事業に着手し、令和6年度は、実施設計業務を進め早期の完成を目指します。
また、宮城県と連携して、白石駅前の県道白石駅停車場線と市道東小路線の無電柱化を進めるための調査に着手し、中心市街地の良好な景観形成、防災機能の強化・向上に努めます。
以上、令和6年度の施政の概要を申し述べさせていただきました。
はじめに申し上げたとおり、本市は、令和6年4月1日に市制施行70周年を迎えます。現在、地方都市はこれまで経験したことがない急速な人口減少と少子高齢化という大きな課題を抱えており、本市も例外ではありません。
この先100周年、200周年と、将来にわたって持続可能な白石市を創るためには、変化を恐れずに新たな施策に挑戦していかなくてはなりません。
昨年4月には、地域医療を将来にわたって安定的に確保するため、これまで一市二町組合で運営していた公立刈田綜合病院を市立病院化し、指定管理者制度の下で公設民営の病院として生まれ変わりました。
指定管理者である医療法人仁誠会の管理運営のもと、病床稼働率や医業収支の改善が図られ、患者さんからも病院の対応が良くなったとお褒めの言葉を数多くいただいています。
これからも、地域の基幹病院として、地域ニーズを的確に反映し、皆さんが安心できる持続可能な医療提供体制を構築してまいります。
同じく昨年4月、子どもたちの多様な学びの機会を確保するため、教育機会確保法施行後全国初となる小中一貫の学びの多様化学校「白石きぼう学園」を開校することができました。
運営に当たっては、「白石みらい教育基金」を最大限活用し、家庭・地域・企業・行政などが一体となって学校を支え、不登校に悩む児童生徒の多様性を認め、学びの機会を確保して、社会的自立につなげるための新しい教育活動を展開しています。
きぼう学園に対しては、児童生徒や保護者の皆さんから大変にご好評をいただくとともに、日本全国の行政・教育関係者からも熱い関心が寄せられています。
新たな事業を軌道に乗せ、将来にわたって安定的に進めていくためには、2年目が重要だと考えていますので、令和6年度もしっかりとこれらの事業を進めていきます。
令和6年度には、「(仮称)白石中央スマートインターチェンジ」の工事が、早期供用開始に向けて本格的にスタートします。周辺整備事業も、道の駅・防災公園のPFI事業者の選定を開始し、令和9年の開業に向け事業を推進します。
「(仮称)白石中央スマートインターチェンジ」は、新たな企業誘致や既存企業の活動支援をはじめ、中心市街地の活性化や観光振興、地域医療の充実、災害時の安全確保など、さまざまな相乗効果が期待できる「地域活性化の起爆剤」であり、地域経済の発展、市民サービス向上の好循環創出につながるものと確信しています。
変化の時代に対応するためには、行政組織も機動的でなければなりません。
国の施策に対応し、住民ニーズに的確に対応するため、本年4月に、本市の組織を一部再編します。
学校教育の充実と子ども子育て支援の充実を図るための組織再編を行うとともに、市民経済部の「市民生活課」から環境部門を独立させて「環境課」を新設し、環境政策の取り組みを強化し、効率的な組織体制の充実・強化を図ります。
本市には、大小さまざまな市政課題が山積しておりますが、「人と地域が輝き、ともに新しい価値を創造するまち しろいし」を実現し、将来にわたって持続可能な白石市を創るため、決して市政課題を先送りすることなく、令和6年も市民の皆さんとともに、積極果敢に挑戦を続けてまいります。
今後とも、議員各位をはじめ市民の皆さんの市行政全般に対するなお一層のご支援とご協力をお願い申し上げ、所信表明といたします。