本日ここに、第460回白石市議会定例会が開催されるにあたり、ご審議いただきます諸議案の説明に先立ち、令和5年度の市政運営に対する基本方針について、所信の一端を申し述べ、議員各位をはじめ市民の皆さんのご理解とご協力をたまわりたいと存じます。
令和2年度から続く新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、市民の健康や生活、地域経済活動など、あらゆる面において甚大な影響を及ぼしてきました。
昨年の春先以降は、ウィズコロナの下での社会経済活動の正常化が徐々に進みつつあり、政府によって、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけを、本年5月8日から、現在の「第2類」から季節性インフルエンザなどと同じ「第5類」に変更する方針が決定されるなど、ようやく日常生活を取り戻す道筋が見えてはきましたが、依然として警戒しなければならない状況が続いています。
さらに、新型コロナウイルス感染症への対応が長期化する中、ロシアによるウクライナ侵攻を背景とした国際的な原材料価格の上昇に加え、円安の影響などから、日常生活に密接なエネルギー・食料品などの価格上昇が続いており、市民生活に深刻な影響を及ぼしています。
こうした事態に対処するため、本市では、新型コロナウイルス対策事業として、市内の中小企業を支援する「事業継続支援金事業」や宿泊施設の利用を促進する「宿泊事業者応援事業」をはじめ、コロナ禍における原油価格・物価高騰対策のため、「新型コロナウイルス経済対策割増商品券事業」や「商品券配布事業」などを実施し、市民生活と地域経済の回復を図ってきました。
また、ワクチン接種事業は、従来株ワクチンの接種に引き続き、昨年10月から、オミクロン株対応2価ワクチンの接種を開始し、多くの市民の皆さんに接種していただきました。
令和5年2月13日をもって、「みやぎ医療ひっ迫危機宣言」が解除され、感染状況は比較的落ち着いていますが、今後も、市民の皆さんの暮らしと経済における新型コロナウイルス感染症の影響を最小限に食い止められるよう、関係機関と連携し、感染拡大防止とウィズコロナの下での社会経済活動の継続などに市職員一丸となって取り組んでまいります。
さて、令和5年度は、「第六次白石市総合計画」の3年目となります。引き続き、本市の目指す将来像「人と地域が輝き、ともに新しい価値を創造するまち しろいし」の実現に向けて、「ひとづくり」「地域力の向上」「新しい価値の創造」を基本的視点として、市民一人一人がその個性や能力を発揮しながら、地域づくりの担い手として活躍するとともに、新たな視点でさまざまな地域資源や魅力を発見し、育て、高め合うことで、新しい価値を創造し、まちへの誇りと愛着を持って暮らしていくことができるまちを目指します。
人口減少や少子高齢化、安全・安心への関心の高まり、社会経済情勢の変化、地域社会ニーズの多様化、持続可能な社会の実現など、まちづくりを取り巻く環境は大きく変化していますが、市政課題を先送りすることなく、本市が持続可能なまちであり続けるために、市民の皆さんと力を合わせて、新しい時代のまちづくりに積極果敢に挑戦してまいります。
以下、「第六次白石市総合計画」に掲げる6つの分野目標に沿って、主な施政の概要をご説明します。
はじめに、「第六次白石市総合計画」の1つ目の分野目標の「人・文化を育む」です。
学校教育の充実は、令和元年度から実施している教育改革をさらに前進させる、「教育改革第2ステージ」の取り組みを一層充実させます。
不登校対策の柱の一つとして4月に開校する不登校特例校「白石きぼう学園」は、不登校に悩む児童生徒が、自分の良さや特徴に気付き、社会的自立に向かうことができる学校として立ち上げ、家庭と教育支援センター、地域、企業、行政などが連携しながら、協働で取り組む教育活動を推進します。
学校の安全・安心対策は、白石第一小学校の児童死傷事故の記憶を風化させることなく、二度と同じような事故を起こさないよう学校事故の再発防止策を徹底し、子どもたちが安全・安心に学校生活を送るための取り組みを継続していきます。
また、教育課題の解決や取り組みの一層の発展に向けて文部科学省職員の知見を活用するため、令和4年度に引き続き「地方教育行政アドバイザー」の派遣を申請し、対応・対策を進めます。
さらに、文部科学省が実施する全国学力・学習状況調査の一部が「文部科学省CBTシステム(MEXCBT(メクビット))」を利用して行われるなど、1人1台端末の活用を前提とした教育政策が加速していくことから、本市で導入したAIドリルとMEXCBTの連携による教育データを利活用した学びを実現することで、子どもたちの「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実させるなど、教育分野のDXをさらに推進します。
令和4年度は、「しろいし蔵王高原マラソン大会」や「若林弁天パーク落成式」、各地区の祭りをはじめとするさまざまな行事に小中学生が積極的に参画するなど、自己有用感などの非認知能力の醸成が進んでいることを感じることができました。
本市のすべての子どもたちが将来の夢や志を叶える力を身に付けられるよう、本市独自の学力・学習状況調査を活用した児童生徒一人一人の学力の伸びの把握や、「非認知能力・学習方略」の育成、英語検定・漢字検定・数学検定の受験料補助、「白石市教育アドバイザー」の積極的活用など、これまでの取り組みを継続し、さらなる学力向上を図るとともに、子ども達の挑戦を応援します。
加えて、オンラインも含めた国際交流を計画的に実施し、令和3年度からスタートした「英語特区」の取り組みをより一層充実させます。
本市では、人口減少・少子化が急激に進行していることから、今後の保育や学校教育のあり方を総合的に検討する「学校教育・保育審議会」を設置し、審議をいただいているところです。遠くないうちに、答申がなされる見込みと聞いていますので、その答申を踏まえ、本市の幼児教育・保育や小中学校教育のあり方に関する方針を検討してまいります。
地域・家庭の教育力の向上は、地域学校協働本部を中心に、地域・家庭・学校が連携して、未来を担う子どもたちを見守り、支えながら、子どもたちの次世代を生き抜く力を育みます。また、地域学校協働活動に関わる地域住民や各種団体の主体性や自主性を育み、地域全体の教育力の向上と地域力の活性化を図ります。
生涯学習・スポーツの推進は、公民館を拠点に豊かな社会生活を送ることができるよう、市民の興味や関心に応じた学びを支援するとともに、市民の皆さんが地域の課題に気付き、仲間とともに学び、課題の解決に向けた行動につなげていけるような共同学習を支援し、住民自治力を育みます。
また、豊かな社会生活を送るうえで、一人一人が自らの興味や関心、体力に応じて学び、スポーツに親しむことは現在及び将来における人・文化の育みにとって重要な事項の一つです。このため、既存のスポーツ関連資源を活用するとともに、令和4年度内に設立予定の「(仮称)白石市総合型地域スポーツクラブ」の活動を支援するなど、生涯スポーツを楽しむことができる環境の充実を図ります。
歴史遺産・伝統文化の継承と活用は、観光資源としての活用が期待でき、地域の個性や独自性、アイデンティティを示すものとして重要です。このような観点から、地域の歴史遺産・伝統文化を掘り起こし、市民に対して魅力を発信する取り組みを進めます。取り組みを進めるにあたっては、子どもから壮年層が参加しやすい活動形態を意識し、シビックプライドの向上を図ります。
次に、2つ目の分野目標の「みんなで地域づくりを進める」です。
持続可能な多機能型自治の形成は、まちづくり協議会の機能・経営基盤の強化を支援するとともに、地域マネジメントをリードする人材の育成に努めます。
また、多機能型自治を促進するための研修会の開催や関係者の相互交流機会の創出を図ります。
協働のまちづくりの推進は、各地区で策定した「まちづくり宣言」の実現を目指すことで、地域づくり人材の育成や住民自治力の向上を図り、持続可能な地域づくりを推進します。
また、まちづくり宣言の実施計画である「地区計画」の策定を支援するとともに、「地区計画」を策定した地区が活用できる新たな交付金制度として、令和4年度に創設した「人と地域が輝く未来共創交付金制度」を活用し、地域住民の皆さんが思い描く地域の将来像の実現を支援します。
市民と行政の情報の共有化は、SNSや動画配信などのデジタルツールを活用した情報発信を強化し、よりわかりやすい情報発信に努めるとともに、市民の皆さんが積極的に市政に参画し、意見を出すことができる多様な機会の充実を図ります。
持続可能な行財政運営は、国が策定した「デジタル社会の実現に向けた重点計画」「自治体DX推進計画」に基づき、デジタル技術を活用した効率的で効果的な事務事業の実施を推進し、厳しさを増す地方財政の中、自主財源の確保に努めながら、市民の利便性向上と業務の効率化を図るため、行政手続のオンライン化等を進めるとともに、地域の特性や抱えている課題を踏まえた重点的な施策の推進を図ります。
自主財源の根幹である市税は、市民負担の公平・平等性を確保するため、適正な課税を行うとともに、コンビニ収納やスマートフォンによる収納に加え、Web口座振替受付サービスとペイジー口座振替受付サービスを導入し、納税者の利便性を高め、収納率向上を図ります。
また、「ふるさと納税寄附金」は、取扱事業者や返礼品の拡充、寄附者の手続きの効率化を図るとともに、白石市の魅力を発信するシティプロモーションと捉え、本市や本市産品の魅力を全国に発信してまいります。
自治体が行う地方創生事業に対し寄附を行った企業に、税負担の軽減措置が与えられる「企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)制度」は、企業の皆さんとのパートナーシップのもと、地方創生につながる事業を公民連携により進めてまいります。
さらに、長期的観点での財政負担の縮減や平準化を図るため、「公共施設等総合管理計画」に基づく「個別施設計画」の推進と検証を進め、効率的で効果的な公共施設の運営を図ります。
社会の変化に対応できる職員の育成・確保は、令和3年度から開始した「メンター制度」を継続するとともに、自己啓発を主体として、庁内研修と派遣研修をバランス良く組み合わせた研修を実施し、職員の育成強化を図り、地域社会を取り巻く環境の変化に迅速かつ的確に対応できるよう、さまざまな専門的知識を持つ外部有識者の協力もいただきながら、地域課題の解決に取り組みます。
次に、3つ目の分野目標の「暮らしをともに支え合う」です。
地域福祉の推進は、令和7年度までを計画期間とする「白石市地域福祉計画」に基づき、地域共生社会の実現に向けて、地域福祉を構成する地域住民や社会福祉協議会などの関係団体との連携体制を確保・強化し、引き続き協働の仕組みづくりを推進します。
子ども・子育て支援の充実は、子育て世代が子どもを産み育てたくなる社会の醸成を目指し、昨年12月に「ベビーファースト活動宣言」を行いました。本年4月1日にはこども家庭庁が発足し、子どものための施策が一元的に進められることから、本市としても子ども・子育て支援のさらなる強化を図るため、令和5年度から「すくすくベビー券」を増額するとともに、6カ月児相談時に配付中のブックスタート事業を拡充し、子どもの発達に合わせて1歳6カ月児健診時にも絵本を贈呈する事業を始めます。
また、妊娠期から子育て期までの切れ目のない包括的な支援と、子どもの健やかな成長を育むため、「子育て世代包括支援センター」を拠点として母子保健事業の充実を図るとともに、母子保健と子育て支援の各種施策を一体的に提供します。
さらに、県の補助金を活用し、子どもが安心して過ごせる居場所づくり事業を行う団体・個人の活動を支援することで、子どもが夢や希望を持って成長できる環境づくりに努めます。
インフルエンザ予防接種費用の助成は、「季節性インフルエンザ」と「新型コロナウイルス感染症」の同時流行を防ぐため、引き続き生後6カ月から中学3年生までと 65歳以上の高齢者を対象に行います。
東大畑地区の「子育て応援住宅」は、「白石市子育て応援住宅基金」を活用した「白石市子育て応援住宅入居者向け定住促進補助金」による住宅取得支援を継続し、子育て支援と定住促進を図ります。
少子化や人口減少は、全国共通の課題となっていますが、本市においても、急激に少子化が進んでいます。これまで課題であった保育園の待機児童は解消されていますが、今後は、出生数の減少による保育園の定員割れと保育施設の老朽化が課題となっていくことから、「学校教育・保育審議会」の意見を踏まえながら、本市の保育環境のあり方に関する方針を検討してまいります。
高齢者福祉の充実は、令和6年度からの3カ年を計画期間とする「白石市高齢者福祉計画・第9期介護保険事業計画」の策定を進め、持続可能な介護保険制度の構築を図るとともに、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、より一層の介護予防事業や認知症施策、高齢者福祉サービスの推進に努めます。
障がい者福祉の充実は、障がいのある人が自分らしく生きるため、自立と社会参加を支援することを基本理念として策定した「第3期白石市障害者計画」「第6期白石市障害福祉計画」「第2期白石市障害児福祉計画」が計画の最終年度を迎えるため、令和6年度からの次期計画の策定を進め、一人一人の個性や能力が発揮され、活躍できる地域社会づくりを進めます。
地域医療体制の充実と健康づくりの推進は、令和5年度から、公立刈田綜合病院が指定管理者・医療法人仁誠会によって管理運営されることとなりますが、これまでと同様にみやぎ県南中核病院との「仙南地区地域医療構想連携プラン」を推進し、今後も地域住民のための病院としての役割を果たしていくため、指定管理者と市がしっかりと連携しながら病院運営に取り組みます。
また、白石市医師会や仙南歯科医師会白石支部とさらなる連携を図るとともに、安全・安心な医療の提供体制強化に努めます。
国民健康保険事業の効率的運営は、被保険者が減少する中での「保険税水準の統一化」などの課題に関する協議を、県や県内他市町村とともに継続して行います。
また、1人当たりの医療費は増加傾向が続いていることから、適正受診や適正服薬、ジェネリック医薬品の活用の周知など、医療費の適正化に努めます。
さらに、被保険者の健康の保持・増進を図るため、特定健診・保健指導の受診勧奨と啓発に努めるとともに、糖尿病性腎症の重症化予防に取り組みます。
加えて、がん患者の治療と社会参加の両立を支援するため実施している「造血幹細胞移植後ワクチン再接種費用補助金」「医療用ウィッグ購入費助成事業」を継続するとともに、骨髄バンクの普及促進を図るため、新たにドナーとして骨髄の提供をされる方などに対し、「骨髄バンクドナー助成金」を令和5年度から交付します。
次に、4つ目の分野目標の「安全・安心を守る」です。
防災・減災対策の充実は、「白石市地域防災計画」に基づき、東日本大震災や令和元年東日本台風などの災害を教訓として、さらなる防災体制の充実に努めるとともに、地震や台風、集中豪雨などのさまざまな災害への対応に万全を期し、災害に強い安全・安心なまちづくりを進めます。
また、災害時のみならず、「北朝鮮による弾道ミサイル発射情報」や昨年12月から運用が開始された「北海道・三陸沖後発地震注意情報」など、あらゆる情報の迅速な収集・伝達の強化に取り組みます。
さらに、宮城県で行われている「第五次地震被害想定調査」の結果を踏まえて、地震対策の強化・充実を図るとともに、必要な備えなどの周知徹底を図り、市民のさらなる安全確保と防災意識の高揚に努めます。
特に、「(仮称)白石中央スマートインターチェンジ」周辺に整備する「道の駅」と「スポーツレクリエーション拠点施設」に地域の防災拠点としての機能を持たせることで、地域の安全・安心を高めます。
加えて、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた避難所における感染症対策の徹底を図るなど、災害発生時に避難を要する住民の安全・安心を確保する必要があることから、「避難所開設・運営マニュアル」に基づく円滑な避難所の開設・運営に努めます。
交通安全・防犯対策の充実は、交通ルールの遵守やマナー向上を図るため、引き続き交通安全関係団体と連携し、交通安全指導を実施するとともに、子どもや高齢者の交通事故を未然に防止するため、交通安全教室の開催や交通安全キャンペーンなどの啓蒙活動を実施します。
地域における防災力の強化は、市民一人一人が「自らの命は自ら守る」という意識を持ち、「自助」である災害への備えと、「共助」である地域住民同士での助け合いが災害発生時に被害を軽減するためには必要不可欠であることから、引き続き自主防災組織への支援を継続するなど地域防災力の向上を目指します。
消費者行政の推進は、複雑化・多様化する消費生活相談に対応するため、消費生活相談員の知識と技能習得を支援し、相談対応機能の向上を図るとともに、特殊詐欺や悪質商法などの被害を防止するため、広報紙やSNSなどを活用した情報提供と世代に応じた啓発活動に努めます。
次に、5つ目の分野目標の「活力・賑わいを創る」です。
農林業の振興は、農林業従事者の高齢化率が高く、今後、人口減少・少子高齢化が進む中で、労働力不足が予想されることから、農家支援のため導入したジャイロレーキやロールベーラーなどの共同利用機械を活用し、作業の効率化を推進します。
また、新型コロナウイルス感染症拡大により米の需要が減少する中、主食用米から飼料用米への転換が推進されています。本市は畜産農家が多く、飼料用米の受け入れへの需要があることから、飼料用米への作付転換を支援し、「耕畜連携」を推進することで農家の所得向上を図るとともに、農用地の効果的な利用と農地の流動化を図るため、「実質化された人・農地プラン」を基に「農地中間管理事業」による農地集積を推進し、生産基盤の強化と耕作放棄地の発生防止に努めます。
農林産物の高付加価値化は、「宮城白石産ササニシキ復活プロジェクト」を引き続き支援するとともに、「白石三白野菜」をはじめとする農林産物のブランド化を推進します。
また、農産物等販売施設「おもしろいし市場」は、平成31年4月のオープンから令和5年1月末までの期間で150万人を超える方々に利用いただいており、農業生産者や物産事業者にとって販路拡大を実感できる施設として、好調な運営を維持しています。令和3年4月から、民間事業者のノウハウや経営手法を活用する指定管理者運営施設として新たにスタートしており、今後も、自立した運営と維持管理を図るとともに、地域食材の魅力を発信するため、「しろいし Sun(サン)Park(パーク)」内にある地元食材活用レストラン「みのり Kitchen(キッチン)」と食の安全や栄養成分を調査分析する研究施設「みのり Labo(ラボ)」、6次産業化加工施設「みのり Factory(ファクトリー)」と連携して安全・安心な食づくりを推進します。今後一層の農林業の振興と6次産業化の促進を図るため、施設ごとの魅力の向上に取り組むことで、さらなる賑わいの相乗効果を生み出し、市全体にさまざまな波及効果が広がるよう、各施設との連携を推進します。
森林の保全は、水源の涵養、山地災害の防止などの公益的機能の発揮、温室効果ガス削減に資するため、森林環境譲与税などを活用し、森林資源の維持や多面的機能の持続的発揮・促進を図ります。
有害鳥獣対策は、野生イノシシによる農林作物への被害がいまだに大きいことから、捕獲による個体数の調整を行うとともに、電気柵などの設置や箱わな製作への補助を継続し、被害防止対策の強化に努めます。
商工業の振興は、新型コロナウイルス感染症やロシアのウクライナ侵攻の影響により、市内経済は非常に厳しい状況にありますが、株式会社トーキンの仙台事業所から白石事業所への機能集約や株式会社パルタックの増設が決まるなど、明るい兆しも出てきていることから、白石市企業立地促進条例に基づく企業立地優遇制度により投資を促進するとともに、令和5年度も引き続き企業訪問を実施し、既存企業に対する情報提供やサポート体制の強化など事業活動支援の充実を図ります。
また、製造業を中心とした新たな企業誘致を推進するため、企業の投資環境の回復状況を見極めながら、企業立地セミナーへの参加や企業訪問などを通じてトップセールスを行い、本市の企業立地環境や投資環境の優位性などを積極的にPRします。
賑わいのある商店街の再生は、商店会などが行う商店街活性化事業への助成や各種観光施策との相乗効果により、中心市街地の賑わいの創出を図ります。
中小企業の経営支援は、「白石市中小企業振興資金融資制度」を活用して中小企業の経営安定化や振興発展に努めるとともに、信用保証料を補給することで負担軽減を図ります。
また、特産品・伝統産品の振興として、白石温麺や白石和紙、弥治郎こけしなどの特産品・伝統産品の販路拡大や、継承・発展に対する取り組みを支援します。
観光分野は、昨年の全国旅行支援のスタートをはじめ、全国各地でイベントが再開されるとともに、海外からの外国人観光客の受入再開など新たな局面を迎え、観光需要の回復が大いに期待されるところです。本市も、この機会を逃すことなく、国内外から多くの集客を図るため、さまざまな媒体を活用し、効果的な情報発信を目指します。
また、災害復旧工事を終えた白石城や茅葺屋根の葺き替えを終えた武家屋敷など、リニューアルをアピールポイントとし、その価値を広く知ってもらえるようにプロモーションを行うとともに、そのほかの観光資源も、あらためてその価値が伝わるよう、従来とは違った視点で紹介するなど、旅行者の訪問意欲をかき立てられるよう工夫します。
インバウンドの推進は、これまで継続してきた蔵王周辺地域の市町との連携に加え、多言語ホームページやパンフレットなど、外国人観光客の受入環境が整っていることをアピールポイントとし、外国人観光客の集客を図ります。特に、仙台空港との定期便運航を再開した台湾などに向けて、積極的に情報発信を行います。
雇用・就労支援の充実は、「白石市創業支援等事業計画」に基づき、関係機関と連携して「創業塾」を開催し、創業の後押しとスキルアップの機会を提供するとともに、商店街再生にもつながる「空き店舗等対策事業補助金」の活用などを通して、創業を目指す方々への支援を行います。
登別市・海老名市・札幌市白石区との姉妹友好都市交流は、ウィズコロナの下での交流活動の促進を図るため、引き続き白石市姉妹友好都市交流協会と連携し、次世代を担う青少年のスポーツ・文化活動の親善交流をはじめ、文化・教育・物産など多分野にわたる市民相互の交流を推進します。特に、本年は、登別市との姉妹都市締結 40周年を迎えますので、市民訪問団の派遣や式典の開催などの記念事業を実施します。
関係人口の創出は、国の「地域活性化起業人制度」に基づき、企業からの社員の派遣を受け入れ、企業の持つノウハウや知見を活かしながら、地域独自の魅力や価値の向上につながる取り組みを進めるとともに、企業との包括連携協定に基づいた公民連携事業に取り組むことで、市内外を巻き込んだシティプロモーションの推進を図ります。
多文化・多世代の共生、多様性を認め合う取り組みは、令和6年度からの8カ年を計画期間とする「第3次白石市男女共同参画基本計画」の策定に向け、国や県の動向を踏まえながら、本市の男女共同参画社会の形成を推進するための計画策定に取り組みます。
また、多様な女性活躍の推進を図るため、「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」への参画を継続するとともに、男性も女性も誰もが働きやすい職場環境づくりを推進するため、宮城県と連携し、ワーク・ライフ・バランスに配慮と理解のある経営者や上司、いわゆる「イクボス」の普及を促進します。
移住・定住の促進は、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に地方移住への関心が高まる中、引き続き「定住者補助金」などの住宅支援事業を継続するほか、新たに「結婚新生活支援事業補助金」を創設し、住宅の取得・賃貸借などに係る費用を助成することで、若い世代の婚姻に伴う新生活を支援します。
また、「白石市移住交流サポートセンター」を中心に、移住・定住に係る相談活動や移住体験住宅の活用を図り、地域住民・移住者・若者世代などの交流の場づくりを促進します。
最後に、6つ目の分野目標の「まちの未来を描く」です。
豊かな自然環境の維持は、地球温暖化対策の推進として公共施設の照明LED化や温室効果ガス排出量算定システムなどによる排出量の管理を行い、温室効果ガスの削減に取り組みます。
「第3次白石市環境基本計画」に基づき、本市が目指す環境の将来像「水とみどりを誇るまちしろいし」を実現するため、市民協働のもと、豊かな自然環境と再生可能エネルギー発電事業との調和を図り、いつまでも住み続けられるまちの実現を目指して、本議会に「白石市自然環境等と再生可能エネルギー発電事業との調和に関する条例」を提案し、生活環境の向上を図るとともに、持続可能な循環型社会の構築に努めます。
また、「カーボンニュートラル」「脱炭素社会」の実現に向けて、本市の取り組むべき課題を整理し、将来にわたり、安全で安心して暮らしていくことができるよう「ゼロカーボンシティ」を目指します。
放射能対策は、現在も除去土壌などの除染廃棄物を保管していることから、引き続き埋設箇所と仮置場の適切な維持管理を行うとともに、国の責任のもとに除染廃棄物を早急に処分するよう、強く求めてまいります。
空き家対策の推進は、引き続き「空き家バンク制度」の周知と活用を図りながら、空き家などの適切な管理の促進や有効活用を進めます。
利便性の高い公共交通網の確保は、通院や買い物など市民の日常生活の移動手段となる市民バスや乗合タクシーの運行を継続し、より効率的で効果的な運行に努め、引き続き便利で快適なまちを目指すとともに、令和5年度から令和9年度までの5カ年を計画期間とする「白石市地域公共交通計画」に基づき、将来にわたって市民が安心して暮らし続けることができる公共交通の確保に努めます。
快適な生活環境の構築は、水道事業における「白石市水道ビジョン」の基本方針に基づき、良質な水の安定供給のため、適正な施設管理を継続して進めるとともに、少人数での運営体制に対応するため、民間事業者の積極的活用を図ります。
また、老朽化した水道施設の耐震化を図るため、国の補助事業を活用し、実施設計業務を進めるほか、市道白銀通り線などの老朽管更新工事を行います。
さらに、白川公民館付近の県道部の老朽管を更新し、北白川駅前から小奥地区に至る低水圧の解消を図るとともに、老朽管更新後は鷹巣配水池からの配水に運用を見直します。そのため、白川配水池は廃止し、施設の統廃合を進めます。
加えて、新たな水道施設の整備として「(仮称)白石中央スマートインターチェンジ」周辺整備に関連する配水管の実施設計業務を進めます。
下水道事業は、「白石市下水道ビジョン」に掲げた「強靱」「持続」「安全」の基本方針を実現するため、「雨水管理総合計画」「内水浸水想定区域図(内水ハザードマップ)」策定のための調査に着手し、雨水対策の取り組みを進め、安全な生活環境の構築を目指します。
また、「(仮称)白石中央スマートインターチェンジ」周辺の未普及エリアを解消するため、公共下水道管路整備実施設計業務を行うほか、マンホールポンプ監視通報装置の更新を行います。
上下水道事業は、人口減少による収益の減少と施設更新による費用の増加により、経営は厳しい状況にあります。今後も経営基盤の強化に取り組み、料金体系のあり方を検討するとともに、事業の合理化・効率化を図るため県内や仙南地域での広域化・共同化の検討を行い、広域連携を積極的に推進します。
魅力ある都市空間の整備は、市中心部の交通ネットワーク機能の強化と通学路の安全確保を図るため、平成30年度から都市計画道路中河原白石沖線事業に着手しており、令和5年度の完成に向けて、引き続き道路の改築工事を促進します。
公園施設長寿命化対策支援事業では、益岡公園テニスコート関連施設の改修工事を令和5年度の完成に向けて工事を促進し、施設の長寿命化と一時避難所としての機能強化を図ります。
また、平成27年度に策定した公園施設長寿命化計画の見直しを行い、公園に設置してある遊具を中心とした改修計画を策定し、市民が安全・安心に使用できる公園を目指します。
以上、令和5年度の施政の概要を申し述べさせていただきました。
政府が、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけを季節性インフルエンザなどと同じ「第5類」に変更する方針を決定し、マスクの着用についても見直しが進むなど、ようやく新型コロナウイルス感染症蔓延以前の生活を取り戻す兆しが見えてまいりました。
しかしながら、コロナ禍以前から、多くの地方都市は、人口減少と少子高齢化という大きな課題を抱えています。また、新型コロナウイルス感染症の長期化やロシアによるウクライナ侵略に端を発するエネルギー・食料品などの価格高騰など、新たな課題にも直面しており、本市も例外ではありません。
課題が山積する中にあって、将来にわたって持続可能な白石市をつくるために、令和5年度も積極果敢に挑戦を続けていかなければなりません。
令和5年度は、こども家庭庁が設置されるなど、国の政策も変化を迎える年となりますが、本市においても新たな施策が動き出す年になります。
本年4月には、教育機会確保法施行後全国初となる小中一貫の不登校特例校「白石きぼう学園」を開校します。「白石みらい教育基金」を最大限活用し、家庭・地域・企業・行政などが一体となって学校を支える体制を構築し、不登校に悩む児童生徒の多様性を認め、学びの機会を確保して社会的自立につなげるための新しい教育活動を展開します。
また、同じく4月には、これまで本市・蔵王町・七ヶ宿町の1市2町で構成する白石市外二町組合が運営してきた公立刈田綜合病院が、白石市立病院として指定管理者制度を導入し、新たなスタートを切ります。
既に、本年1月中旬に医療法人仁誠会の今村豪理事長が医師として刈田病院に着任され、「救急を断らない」との方針の下で積極的に救急患者を受け入れており、病床稼働率改善と医業収入増加による病院事業収支の改善、そして、市民目線の地域医療のさらなる充実のための変化の兆しが現れていると感じています。
指定管理者制度の導入によって持続可能な医療体制を構築するとともに、これからも地域の基幹病院として、地域の皆さんに安心を与えつづけることができる、地域に根差した病院づくりを進めてまいります。
さらに、令和5年度には、「(仮称)白石中央スマートインターチェンジ」とその周辺施設の整備事業が、早期供用開始に向けて本格的に動き出します。
新たな企業誘致や既存企業の活動支援をはじめ、中心市街地の活性化や観光振興、地域医療の充実、災害時の安全確保など、さまざまな相乗効果が期待できる「地域活性化の起爆剤」であり、地域経済の発展、市民サービス向上の好循環創出につながるものと確信しています。
変化のときこそ、大きな飛躍を遂げるチャンスです。これまで積み上げてきた取り組みの成果として、未来に向けた変化の芽、希望の芽が多く生まれてきています。
それらのチャンスの芽をしっかりと見極め、育てることで、白石市が「選ばれるまち」「持続可能なまち」となることができます。
未来の子どもたちに誇れる「ふるさと白石」を残していくことができるよう、市民、地域、企業、学校、行政など、白石市に関係する多くの皆さんと力を合わせてシビックプライドを育むまちづくりを推進し、本市の目指す将来像「人と地域が輝き、ともに新しい価値を創造するまち しろいし」の実現に向けて積極果敢に全力で取り組んでまいります。
今後とも、議員各位をはじめ市民の皆さんの市行政全般に対するなお一層のご支援とご協力をお願い申し上げ、所信表明といたします。