平成27年度 決算審査の結果 公営企業会計
水道事業会計
1.審査の対象
平成27年度 白石市水道事業会計
2.審査の期間
平成28年7月1日から平成28年8月12日まで
3.審査の方法
この決算審査にあたっては、地方公営企業法第30条第2項の規定により、市長から審査に付された決算書類(決算報告書、損益計算書、剰余金計算書、剰余金処分計算書、貸借対照表)並びに決算附属書類(事業報告書、収益費用明細書、固定資産明細書、企業債明細書)が、地方公営企業法その他関係法令に準拠して作成され、かつ、企業の財務状況および経営成績を適正に表示しているかどうかについて審査した。
審査にあたっては、関係帳票、証拠書類の提出を求め、さらに経営内容の動向を把握するため、計数分析による比較検討を行うとともに、関係責任者の説明を聴取した。
4.審査のまとめ
当年度の経営成績については、総収益は9億1,463万6千余円で、総費用は8億1,115万2千余円となり、差し引き1億348万4千余円の純利益を計上し、これは前年度と比べると5,026万余円の増益となった。この結果、純利益に前年度繰越利益剰余金を加えた当年度未処分利益剰余金は、4億5,226万8千余円となり、これに減債積立金1億2,688万円と建設改良積立金8,600万円を合わせた利益剰余金では6億6,514万8千余円となった。
純利益が増加した主な要因は、事業収益では給水収益が前年度と比べ503万9千余円増加したものの他会計補助金等の減額により、前年度と比べ3,004万8千余円の減額となった。一方、事業費用等においては、原水及び浄水費で仙南・仙塩広域水道の契約水量及び料金単価の見直し等により7,904万2千円余円が前年度より減少したことなどから、前年度と比べ8,030万9千余円の減額となったことによるものである。
経営分析による収益率では、前年度との比較で、総括的な収益の割合を示す総収支比率が6.79ポイント上昇して112.76%となり、また、営業活動の能率を示す営業収支比率でも9.15ポイント上昇して108.69%となり、前年度と比較し経営状況が良かったことを示している。
年間の給水状況を見ると、上水道事業では、仙南・仙塩広域水道供給事業からの受水量約233万8千立方メートルと自己水源約190万9千立方メートル、簡易水道では、約16万6千立方メートルの水量を市内給水戸数13,307戸、33,362人に供給している。
これらの配水された水道水441万4千立方メートルは前年度と比べると17万8千立方メートル増加し、料金収益となる有収水量は321万5千立方メートルで、前年度と比べ2万1千立方メートルの増加となった。1立方メートル当たりの供給単価は258.24円、給水原価は252.24円となり供給単価が給水原価を6円上回る結果となった。しかしながら、有収率は72.8%(前年度75.4%)と低水準にあり、これは損益に直結することから、その改善に向けて早期の取り組みを望むものである。
建設改良事業としては、3億6,281万5千余円をもって、水の安定した供給を図るため沢配水管敷設工事、水道施設更新工事及び湯元地区簡易水道整備事業配水施設整備工事を行った。
水道事業は市民生活や経済活動を支える重要なライフラインで、今後も安全で良質な水道水を安定的に供給する重要な使命があり、そのためには、事業環境の変化や経営課題に的確に対応し、効率的な事業運営に努め、安定的な経営が求められる。
当市の水道事業は老朽化した施設及び管路の更新、人口減等に伴う給水収益の減少等厳しい課題に直面している。平成27年度に策定した「白石市水道ビジョン」は、「安心・安全で将来に受け継げる水道」を基本理念に当市の今後10年間の水道事業の進むべき方針を示したものであり、これを具体的に推進する中・長期的な展望に立った財政計画及び施設整備等の実施計画を策定し、確実に推進するよう望むものである。
下水道事業会計
1.審査の対象
平成27年度 白石市下水道事業会計
2.審査の期間
平成28年7月16日から平成28年8月12日まで
3.審査の方法
この決算審査にあたっては、地方公営企業法第30条第2項の規定により、市長から審査に付された決算書類(決算報告書、損益計算書、剰余金計算書、欠損金処理計算書、貸借対照表)並びに決算附属書類(事業報告書、収益費用明細書、固定資産明細書、企業債明細書)が、地方公営企業法その他関係法令に準拠して作成され、かつ、企業の財務状況および経営成績を適正に表示しているかどうかについて審査した。
審査にあたっては、関係帳票、証拠書類の提出を求め、さらに経営内容の動向を把握するため、計数分析による比較検討を行うとともに、関係責任者の説明を聴取した。
4.審査のまとめ
当年度の経営成績については、総収益は10億2,437万7千余円で、総費用は11億4,670万5千余円となり、昨年度よりも7,775万余円多い1億2,232万8千余円の純損失を計上することとなった。
この結果、純損失に前年度繰越欠損金を加えた当年度未処理欠損金は、8億1,554万5千余円となった。
事業別に見ると、公共下水道事業では、総収益は8億9,945万1千余円で、総費用は10億872万7千余円となり、差し引き1億927万6千余円の純損失となった。また、農業集落排水事業では、総収益は1億2,492万6千余円で、総費用は1億3,797万7千余円となり、差し引き1,305万1千余円の純損失となった。
純損失が増加した主な要因は、公共下水道事業において、東日本大震災による損失として特別損失に、昨年度より1億283万9千余円多い1億9,697万4千余円を計上したこと等によるものである。
経営分析による収益率では、前年度との比較で、総括的な収益の割合を示す総収支比率が6.49ポイント低下して89.33%となり、営業活動の能率を示す営業収支比率では1.24ポイント上昇したが64.73%と低水準となっており、大変厳しい経営状況である。
下水道事業の普及状況において、公共下水道は処理区域内人口23,073人に対し、水洗化人口21,564人で、水洗化率は93.46%となり、前年度より0.67%上昇している。一方、農業集落排水事業では、処理区域内人口1,954人に対し、水洗化人口1,227人で、水洗化率は62.79%となり、前年度より1.84%増加した。
総処理水量に対する有収水量率が92.63%で前年度より0.05%低下している。有収水量の低下は処理原価につながるため適切な対応に努めていただきたい。そして、水洗化人口を増やすことが経営の健全化には必須の要件であることから、積極的な加入促進の推進を図るよう望むものである。
建設改良事業としては、7億240万1千余円をもって、公共下水道事業では未普及地域解消のための管渠敷設工事、浸水対策として雨水幹線工事及び東日本大震災に伴う災害復旧工事を行った。
下水道事業は、東日本大震災からの復旧はまだ続いている現状にあるが、下水道事業は快適な生活環境を維持する上で、重要な役割を果たしていることから被災施設の早期完全復旧を望みます。そして、中・長期的な展望にたった経営方針により更なる経営の効率化と健全化が図られるよう望むものである。