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令和5年度 決算審査の結果 公営企業会計

印刷用ページを表示する 掲載日:2024年10月8日更新

1.審査の対象

  令和5年度白石市水道事業会計決算
  令和5年度白石市下水道事業会計決算
​  令和5年度白石市病院事業会計決算

2.審査の期間

 令和6年7月10日から令和6年8月9日まで

3.審査の方法

 この決算審査にあたっては、地方公営企業法第30条第2項の規定により、市長から審査に付された決算書類(決算報告書、損益計算書、剰余金計算書、剰余金処分計算書、欠損金処理計算書、貸借対照表)並びに決算附属書類(事業報告書、収益費用明細書、固定資産明細書、企業債明細書)が、地方公営企業法その他関係法令に準拠して作成され、かつ、企業の財務状況および経営成績を適正に表示しているかどうかについて審査した。
 審査にあたっては、関係帳票、証拠書類の提出を求め、さらに経営内容の動向を把握するため、計数分析による比較検討を行うとともに、関係責任者の説明を聴取した。 ​

4.審査の結果

 ​審査に付された決算報告書、財務諸表、その他の関係書類は、地方公営企業関係法令に準拠して作成され、令和5年度における事業の執行状況、経営成績および当該年度末の財務状況が適正に表示され、その計数も正確であることを認めた。

5.審査のまとめ(決算等の概要および意見)

1.水道事業会計

 令和5年度の経営成績は、総収益が8億2,685万8千余円で、総費用は7億6,411万7千余円となり、差し引き6,274万1千余円の純利益を計上し、4年連続の黒字決算となった。
 この結果、純利益に前年度繰越利益剰余金7億8,403万2千余円を加えた当年度未処分利益剰余金は、8億4,677万3千余円となった。これに減債積立金1億4,271万円と建設改良積立金8,600万円を合わせた利益剰余金では10億7,548万3千余円となった。

 利益計上の主な要因は、収益においては、給水収益が前年度と比べ、927万3千余円増加となった。これは、前年度は令和4年3月に発生した福島県沖地震に対する被災者支援とした減額・減免を行ったことによるものと思われる。一方、費用においては、更新工事等に伴う除却費を計上した資産減耗費が1,203万8千余円減少したことなどによる。
 また、貸借対照表を前年度と比べると、資産の部は、構築物など主に有形固定資産の減により6,068万3千余円減少し、50億771万2千余円となった。負債の部については、主に固定負債及び流動負債の減により1億2,479万2千余円減少し、21億16万余円となった。資本の部については、主に剰余金の増により6,410万9千余円増加し、29億755万1千余円となった。

 水道事業の経営基盤を示す各指標を見ると、構成比率では自己資本構成比率が2.35ポイント上昇し70.21%となるなど、経営の安全性が高まっているといえる。
 財務比率では自己資本に対する負債の割合を示す負債比率は、4.93ポイント減少し42.44%で比較的健全な運営がなされている。企業活動の成果を表す収益率では、総括的な収益の割合を示す総収支比率は、0.74ポイント減少しているものの、業務活動の能率を示す営業収支比率は0.86ポイント上昇しており、引き続き良好な事業経営が行われているといえる。
 また、1立方メートル当たりの給水原価は255.83円、供給単価は265.27円で、9.44円の販売益となり、3年連続で販売益を出している。

 建設改良事業としては、東町三丁目地区の都市計画道路工事に伴う配水管移設工事、西益岡町地区の老朽管更新工事を実施した。また、長町・不澄ケ池・清水小路地区の老朽管更新工事や福岡蔵本字樋ノ口地区の送水管布設工事に着手している。

 委託業務としては、豪雨や漏水等を速やかに把握するため、水道施設等に監視カメラを設置し、水道施設等の遠隔操作により被害の軽減を図る「災害監視システム構築業務」を発注している。また、水道料金関係業務の委託事業に「給水装置・排水設備工事受付審査等」の業務を追加するなど業務の効率化を図っている点は評価できる。

 企業債の状況を見ると、借入額が960万円、償還額が7,667万9千余円で、差し引き6,707万9千余円減少し、年度末企業債残高は13億2,443万4千余円となった。

 年間の給水状況を見ると、給水戸数13,467戸、29,808人に供給している。これは、前年度と比較すると、給水戸数は130戸、給水人口は762人減少している。料金収益となる有収水量は284万7千立方メートルで、前年度と比べ3万1千立方メートルの減少となっている。
 有収率は76.78%と宮城県内事業体平均88.7%(宮城県食と暮らしの安全推進課ホームページ 令和3年度データ)と比べて依然として低水準にあり、これが経営を圧迫する要因の一つと考えられることから、引き続き漏水の原因や地区の特定を行い、有収率の向上を図っていただきたい。

 このように、当年度は構成比率、財務比率、収益率の各指標において良好な状態にあることが認められ、効率的な事業運営と経営基盤の安定に努められている点は評価できる。
 一方で、現在の人口減少社会を背景に給水人口はさらに減少していくものと思われ、今後の水道事業を取り巻く環境はより厳しさを増すことが予想される。また、資産の老朽度合いを表す有形固定資産減価償却率が60%を超えており、法定耐用年数経過管路の割合を示す管路経年化率も45%と高い状態が続いていることから、今後も計画的な更新工事を継続して進めていくことが求められる。

 従って、令和3年3月に策定した「白石市水道ビジョン」に基づき、基本理念である「安心・安全で将来に受け継げる水道」を目指し、中長期的な経営戦略のもと、良質な水道水の安定供給、老朽施設の計画的な更新、事務事業の効率化による経費の節減等について引き続き取り組まれるよう強く望むものである。

2.下水道事業会計

 令和5年度の経営成績については、総収益は9億3,054万5千余円で、総費用は8億4,818万5千余円となり、前年度よりも1,770万9千余円少ない8,236万余円の純利益を計上することとなった。
この結果、純利益から前年度繰越欠損金9億5,706万9千余円を差し引いた当年度未処理欠損金は、8億7,470万9千余円となった。

 事業別に見ると、公共下水道事業では、総収益は8億3,432万7千余円で、総費用は7億5,198万1千余円となり、差し引き8,234万5千余円の純利益となり、農業集落排水事業では、総収益は9,621万8千余円で、総費用は9,620万4千余円となり、差し引き1万4千余円の純利益となった。

 利益計上の主な要因は、収益においては、下水道使用料などの営業収益が前年度と比べ1,230万4千余円減少したものの、営業外収益が1,433万6千余円増加となった。一方、費用においては、営業費用が2,650万1千余円増加したものの、営業外費用が1,010万6千余円減少したことによるものと思われる。

 また、貸借対照表を前年度と比べると、資産の部は、主に固定資産の減により3億8,017万余円減少し、160億2,024万9千余円となった。負債の部については、主に固定負債の減により6億5,628万8千余円減少し、158億8,772万7千余円となった。資本の部については、主に資本金の増により2億7,611万8千余円増加し、1億3,252万1千余円となった。

 下水道事業の経営基盤を示す各指標を見ると、構成比率では自己資本構成比率が1.54ポイント上昇し57.40%となり、企業債未償還残高も着実な減少が図られているものの、良好とまではいえない。財務比率では固定比率、固定長期適合率ともに100%を上回っており、長期的な資本の枠を超えての投資が行われていたことにより、依然として厳しい状況となっている。収益率では、総括的な収益の割合を示す総収支比率が2.32ポイント減少して109.71%となり、営業収支比率は76.11%であり営業損失を営業外収益等で補っている状態であることが窺える。

 建設改良事業としては、東町三丁目地区の都市計画道路工事に伴う下水道管移設工事を行ったほか、西益岡町地区など9箇所の公共汚水桝設置工事を行った。

 企業債の状況を見ると、借入額が2億2,990万円、償還額が7億5,354万2千余円で、差し引き5億2,364万2千余円減少し、年度末企業債残高は66億6,071万6千余円となった。

 下水道事業の普及状況は、全体で処理区域内人口22,718人に対し、水洗化人口20,503人で、水洗化率は90.25%となり、前年度より0.15ポイント上昇しているが、農業集落排水事業の水洗化率は、69.47%と依然として低いことが懸念される。年間総処理水量は269万9千余立方メートル、年間総有収水量は249万9千余立方メートルとなり、有収率は92.58%で、前年度と同じであった。

 このように、当年度は構成比率、財務比率、収益率の各指標において良好な状態にあるとはいえない状況が認められる。さらに、水洗化人口や有収水量の減少に伴い、使用料収益は減少していくことが予想され、今後の財政状況はより一層厳しさを増していくものと思われる。また、法定耐用年数を超える管渠はまだないものの、徐々に施設の老朽化が進んでおり、近い将来、改築需要の増加も見込まれることから、引き続き財政収支計画に基づく確実な事業の推進に努めることが望まれる。

 よって、令和3年3月策定の「白石市下水道ビジョン」に沿って、計画的な老朽施設の修繕や民間活用の推進、ICTの導入検討などに努められ、ビジョンの基本理念である「安全で快適な生活環境の構築に貢献する下水道」を目指した効率的な事業運営を願うものである。

3.白石市病院事業会計

 公立刈田綜合病院は、経営形態の見直しにより、白石市外二町組合が解散され、令和5年4月より白石市の病院として指定管理者制度を導入し、医療法人仁誠会による運営を開始した。

 患者の取扱状況をみると、延べ入院患者数は41,462人で前年度と比較して10,132人(32.34%)の増加、延べ外来患者数は、患者数の計上方法の変更もあり、66,859人で20,217人(23.22%)の減少となった。また、病床稼働率は前年度から18.06ポイント増加し74.53%、救急患者の受入件数は3,011件で前年度と比較して458件(17.94%)の増加となった。

 病院事業会計は、指定管理者制度導入に伴い、利用料金制を採用したため、入院・外来収益が指定管理者の収益となり、対前年度比が収入・支出とも大きく減少した。収益的収支では、収入総額9億6,545万9千余円に対し、支出総額9億4,958万5千余円となり、1,587万3千余円の純利益を計上した。

 経営の健全性を示す経常収支比率は、対前年度比で17.47ポイント増の104.29%となった。また、現金預金比率は52.31%となり、前年度の7.79%から大幅に改善した。

 建設改良事業としては、3階病棟の床改修工事に着手したほか、1階受付ホールのLED照明改修工事を行った。

 企業債の状況は、当年度借入額が4,830万円、償還額が14億7,556万5千余円で、差し引き14億2,726万5千余円減少し、年度末未償還残高は56億1,374万6千余円となった。

 経営健全化に向けては一定期間を要するものであるが、総合診療科の開設や救急患者の受入増、病床稼働率の増加など、わずか1年での改善は評価できるものであるが、反面、許可病床数199床に対し、稼働病床数は152床となっており、休床病床の再開など課題も見受けられる。また、資産の老朽度合いを表す有形固定資産減価償却率は73.55%と年々増加傾向にあることから、計画的な施設の更新等に努めていただきたい。

 持続可能な公立病院の取り組みとして、国の「経営強化ガイドライン」に基づき策定した、令和6年度から5年間を計画期間とした「公立刈田綜合病院経営強化プラン」を着実に推進することによって、みやぎ県南中核病院との「仙南地区地域医療構想連携プラン」の一層の推進を図るとともに、地域住民のための病院としての役割を果たしていくため、今後とも、指定管理者と市がしっかりと連携しながら病院運営に取り組んでいかれることを切に望むものである。​