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令和2年度 決算審査の結果 公営企業会計

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年9月27日更新

1.審査の対象

 令和2年度白石市水道事業会計決算
  令和2年度白石市下水道事業会計決算

2.審査の期間

 令和3年7月12日から令和3年8月6日まで

3.審査の方法

 この決算審査にあたっては、地方公営企業法第30条第2項の規定により、市長から審査に付された決算書類(決算報告書、損益計算書、剰余金計算書、剰余金処分計算書、欠損金処理計算書、貸借対照表)並びに決算附属書類(事業報告書、収益費用明細書、固定資産明細書、企業債明細書)が、地方公営企業法その他関係法令に準拠して作成され、かつ、企業の財務状況および経営成績を適正に表示しているかどうかについて審査した。
 審査にあたっては、関係帳票、証拠書類の提出を求め、さらに経営内容の動向を把握するため、計数分析による比較検討を行うとともに、関係責任者の説明を聴取した。

4.審査のまとめ

1.水道事業会計

 令和2年度の経営成績については、総収益は8億7,588万3千余円で、総費用は8億1,113万6千余円となり、差し引き6,474万6千余円の純利益を計上し、2年ぶりの黒字決算となった。 
 この結果、純利益に前年度繰越利益剰余金5億7,472万2千余円等を加えた当年度未処分利益剰余金は、6億5,734万5千余円となった。これに減債積立金1億4,271万円と建設改良積立金8,600万円を合わせた利益剰余金では8億8,605万5千余円となった。
 利益計上の主な要因は、収益においては少子高齢化による給水人口の減少や節水意識・機器の普及、新型コロナウイルス感染症対策での基本料金の減免などの影響で、給水収益が前年度と比べ、7,102万余円
減少したものの、補助金および長期前受金戻入益の増により、営業外収益が8,511万3千余円の増加により事業収益が微増となった。一方、費用においては、原水および浄水費が仙南・仙塩広域水道の契約水量および受水料金の見直し等により1億1,080万4千余円減少したことによる。

 経営分析による収益率では、純利益計上の影響により、総括的な収益の割合を示す総収支比率が12.71ポイント増加して107.98%、業務活動の能率を示す営業収支比率が1.97ポイント増加して93.83%となっており、その他の利益率も良化している。
 また、1㎥当たりの給水原価254.12円が供給単価241.32円を12.80円下回る結果となったが、前年度比で12.03円改善された。受水費の減が給水原価引き下げに大きく関与したことが窺える。

企業債の状況を見ると、借入額が5,380万円、償還額が5,528万9千余円で、差し引き148万9千余円減少し、年度末企業債残高は14億1,693万7千余円となった。
 
                            
 年間の給水状況を見ると、給水戸数13,664戸、給水人口31,609人に供給している。これは、前年度と比較すると、給水戸数は13戸増加し、給水人口は537人減少している。
 料金収益となる有収水量は2,973,313
で、前年度と比べ17,945の減少となり、給水収益で7,102万余円の減額となっている。
 有収率は77.86%(前年度73.53%)と徐々に改善はしているが、依然として低水準にあり、これが、経営を圧迫する要因の一つと考えられることから、引き続き漏水の原因や地区の特定を行い、有収率の向上を図っていただきたい。

 当年度決算については、仙南・仙塩広域水道の契約水量および受水料金の見直しによる受水費の減が大きく影響した。この見直しは、令和2年度から6年度までの5年間について行い、令和7年度から11年度までの料金については、令和6年度までに設定するとしている。(令和元年8月2日締結の「仙南・仙塩広域水道用水の供給に関する覚書」より)
 また、3か年を目途に意見の集約を図り、速やかに料金設定に反映させるとしていることから、今後の水道経営への影響が大きいことに考慮し、県・受水市町との協議を加速させ早期に結論を出していただきたい。
 さらに、令和3年3月に策定された「白石市水道ビジョン」に基づき、中長期的経営戦略のもと、施設更新の平準化やダウンサイジングを行い、サービスの提供を安定的に継続できるよう努めるとともに、事務事業の効率化による経費の節減、水道料金等の収納率向上など、収入の確保を図るよう強く望むものである。 

 

2.下水道事業会計

 令和2年度の経営成績については、総収益は10億1,068万余円で、総費用は9億106万9千余円となり、前年度よりも6,791万9千余円多い1億961万余円の純利益を計上することとなった。
 この結果、純利益に前年度繰越欠損金14億8,040万7千余円等を差し引いた当年度未処理欠損金は、11億3,400万9千余円となった。

 事業別に見ると、公共下水道事業では、総収益は9億582万4千余円で、総費用は7億8,713万3千余円となり、差し引き1億1,869万余円の純利益となり、農業集落排水事業では、総収益は1億485万5千余円で、総費用は1億1,393万5千余円となり、差し引き907万9千余円の純損失となった。
 利益計上の主な原因は、収益においては公共下水道事業の営業収益が前年度と比べ、125万余円減少したものの、営業外収益の長期前受金戻入益および国庫補助金、特別利益の過年度損益修正益で合わせて7,236万3千余円増加した。一方、費用においては、公共下水道事業の営業費用・総係費が3,078万5千余円増加したものの、公共下水道事業の営業外費用および農業集落排水事業の全科目にわたり対前年度比減少を計上したことが影響したものである。

 経営分析による収益率では、前年度との比較で、総括的な収益の割合を示す総収支比率が7.50ポイント増加して112.16%となったものの、業務活動の能率を示す営業収支比率では2.38ポイント減少して79.57%となり、営業外収益の増加の影響であることが窺える。

 企業債の状況を見ると、借入額が3億6,690万円、償還額が7億8,023万余円で、差し引き4億1,333万余円減少し、年度末企業債残高は81億3,194万4千余円となった。

 下水道事業の普及状況は、全体で処理区域内人口23,896人に対し、水洗化人口21,406人で、水洗化率は89.58%となり、前年度より0.10ポイント低下している。年間総処理水量は2,835,960㎥、年間総有収水量は2,625,217㎥となり、有収率は92.57%で前年度より0.03ポイント低下している。
 建設改良事業としては、管渠整備工事、雨水幹線工事、マンホール蓋更新工事、汚水管移設工事などを行った。(一部令和3年度に繰越)

 
 令和3年3月策定の「白石市下水道ビジョン」では、令和12年度の有収水量は約13%減の6,231㎥程度に減り、これに伴い使用料収入も減少し、より一層財政状況は厳しさを増すとして、施設更新の平準化や農業集落排水事業の統合などによる事業費の縮減を進めるとともに、適正な使用料負担の確保と持続可能な運営を両立できる使用料体系について検討を進めるとある。
 また、民間委託の拡大とともに、専門的な技術ノウハウの継承と人材育成を進め、持続可能な経営体制の構築を目指すとある。人づくりは一朝一夕にできるわけではなく、一定の時間と労力がかかることから、市全体での計画的な取り組みが非常に重要であり、その努力を大いに期待したい。
 さらに、今後とも事務事業の効率化を推進し経費の節減を図るとともに、下水道接続の普及促進および使用料等の収納率の向上に努め、収入の確保を図られるよう切望するものである。