令和元年度　決算審査の結果　一般・特別会計

1．審査の対象

一般会計

　（1）　令和元年度白石市一般会計歳入歳出決算

特別会計

　（1）　令和元年度白石市国民健康保険特別会計歳入歳出決算
　（2）　令和元年度白石市介護保険特別会計歳入歳出決算
　（3）　令和元年度白石市後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算

財産に関する調書

基金の運用状況

　（1）　　白石市財政調整基金
　（2）　　白石市奨学資金貸付基金
　（3）　　白石市国民健康保険事業財政調整基金
　（4）　　白石市土地開発基金
　（5）　　白石市肉用牛貸付基金
　（6）　　白石市高額療養費貸付基金
　（7）　　白石市郷土資料館建設基金
　（8）　　白石市都市整備基金
　（9）　　白石市減債基金
　（10）　白石市長寿社会対策基金
　（11）　白石市武家屋敷管理基金
　（12）　白石市松竹梅福祉基金
　（13）　白石市二十一世紀の田園文化創造基金
　（14）　白石市国際交流基金
　（15）　白石市介護保険事業財政調整基金
　（16）　白石市スキー場基金
　（17）　白石城基金
　（18）　白石市子育て応援住宅基金
　（19）　白石市庁舎建設基金
  （20）  白石市森林環境譲与税基金

2．審査の期間

　令和2年7月13日から令和2年8月7日まで

3．審査の方法

　令和元年度白石市各会計歳入歳出決算の審査は、市長から送付された各会計歳入歳出決算書、同事項別明細書、実質収支に関する調書および財産に関する調書並びに基金の運用について、関係諸帳簿および証拠書類を照合し、また、関係職員の説明を聴取するなどにより審査した。

4．審査のまとめ

　令和元年度における一般会計では、歳入総額が前年度より4億4,699万余円多い157億9,514万7千余円、歳出総額が前年度より1億8,221万7千余円多い151億2,639万1千余円となり、歳入歳出差引額は6億6,875万6千余円、実質収支額は4億7,196万9千余円となった。
　この実質収支から前年度実質収支を差し引いた単年度収支は1億1,450万1千余円の黒字となり、これに実質的な黒字要素である財政調整基金への積立金2億1,970万余円を加えた実質単年度収支額は3億3,420万1千余円の黒字となった。黒字計上は平成27年度以来である。

　歳入の状況を財源別にみると、「自主財源」は62億2,757万5千余円（39.44％）で、前年度と比べ、1億2,106万1千余円増加し、「依存財源」は95億6,757万2千余円（60.56％）で前年度と比べ、3億2,592万9千余円増加した。これは寄付金が5億1,091万余円（842.77％）と大幅に増加したことが大きな要因と思われる。

　収入未済額については、前年度より445万余円多い3億1,929万7千余円となっている。そのなかで、固定資産税、災害援護資金貸付金元利収入が増額になっているのが懸念される。不納欠損額については、前年度より1億924万7千余円減少し741万4千余円となっている。これは固定資産税で9,729万1千余円、都市計画税で688万8千余円などの減少によるものである。
　負担の公平・公正の原則に立ち、滞納の実態に応じた厳正かつ積極的な措置と不納欠損にいたるまでの更なる徴収努力をし、未収金の早期回収を努めるとともに不納欠損処分の慎重かつ厳正な取り扱いを望むものである。

　また、歳出決算額を性質別に前年度と比較すると、義務的経費は1億2,731万余円増加し62億288万8千余円（41.00％）、投資的経費は2億2,357万3千余円減少し15億1,973万8千余円（10.05％）、さらに、その他の経費は2億7,848万1千余円増加し74億376万6千余円（48.95％）となり、投資的経費だけが減少している。
　歳出の執行率は86.83％と、前年度より8.28ポイント下落した。これは台風19号による災害復旧費で38.94％、土木費で45.64％が要因ではあるが、適正な予算編成により、概ね計画的に執行されていると認められる。

　次に特別会計では、国民健康保険特別会計・介護保険特別会計および後期高齢者医療特別会計の全体で当年度の歳入総額が、前年度より2億1,147万4千余円減少し79億3,162万8千余円、歳出総額が4,826万余円減少し77億7,487万1千余円となった。また、実質収支額は、前年度より1億6,321万3千余円減少し1億5,675万6千余円となった。

　収支未済額は、特別会計全体で前年度より858万8千余円減少したものの2億5,881万3千余円となっており、また不納欠損額は前年度より208万1千余円減少し1,054万1千余円となっている。
　特別会計については、その設立の主旨に則して概ね適正に運営されていると認められるが、今後も更なる予算執行の適正化と滞納の実態に応じた未収金の早期回収に努められるよう望むものである。

　財産については、概ね適正に表示・整理されているが、公有財産等の調査および確認を行うとともに、特に普通財産の非木造建物の貸付・売却を進め、自主財源の確保と維持管理費の低減を図るよう望むものである。
　基金は、現在20基金となっており、年度末現在高は、76億3,458万2千余円で、前年度より3億6,080万1千余円増加しており、それぞれ設置目的に則して、運用・管理されていると認められる。
　一般会計の市債現在高は、105億4,871万4千余円で、前年度と比べ6,006万7千余円減少している。

　以上の歳入歳出決算状況に基づき、一般会計の主要な財政分析指標を見てみると、財政力の強弱を示す「財政力指数」は、0.495で前年度（0.487）と比べると0.008ポイント上昇している。財政構造の弾力性を示す「経常収支比率」は91.4％で前年度（92.5％）と比べると1.1ポイント良化、「公債費比率」は5.1％で前年度と同一、「将来にわたる財政負担」は142.3％で前年度（148.5％）と比べ6.2ポイント良化している。

　令和元年度の財政状況は前述のとおり、一般会計において実質単年度収支額は3億3,420万1千余円の黒字計上となった。その要因は、財政調整基金の取り崩しを0円（平成30年度6億円、平成29年度7億2,100万円、平成28年度9億4,258万1千円）としたことによる。その結果、財政調整基金の年度末残高は、22億6,057万9千円となった。
　主要事業としては、しろいしSunPark（サンパーク）において、地元食材活用レストラン「みのりKitchen」、商品開発・研修施設「みのりLabo」を整備しており、先行オープンの「こじゅうろうキッズランド」、「みのりFactory」、「おもしろいし市場」と合わせて宮城県南地域の一大交流拠点となるよう、有機的に連携し合い、運営の更なる工夫の積み重ねによって、常に魅力ある施設運営が図られるよう切望するものである。

。これら施設は「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づく地方創生関係交付金で整備しているものであり、第1期総額19億円にものぼる。今後5年間の第2期戦略においては、これまでの施策の検証を行い、本市の将来を見据えて個性・資源を生かした地方創生のための貴重な財源として活用していただきたい。

　当年度は台風19号への災害対応に追われた年でもあった。災害の爪痕はいまだに残り、懸命な災害復旧工事が継続して行われている。一日でも早い市民生活の安全・安心を目指して完成されることを期待するものである。
　また、前年度のむすびにも申し上げたが、過去に建設された公共施設等についての「個別施設計画」について、次世代に可能な限り負担を残さない効率的、効果的な施設等の配置・運営に全庁をあげて取り組み、その結果を総合的に市民に示していただくようお願いしたい。

　最後に、「第五次白石市総合計画」の終期が近づき、「第六次白石市総合計画」策定が大詰めを迎えている。新たな令和の時代においても市民が豊かさを実感できる計画となるよう期待するものである。