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新しい公立刈田綜合病院に向けて(広報しろいし 令和5年1月号 掲載)

印刷用ページを表示する 掲載日:2023年1月24日更新

令和5年度から市立病院・公設民営で再出発

白石市外二町組合の解散が1市2町の議会で可決

11月28日、白石市、蔵王町、七ヶ宿町の1市2町の議会で、公立刈田綜合病院(以下「刈田病院」)を運営する白石市外二町組合(以下「組合」)を令和5年3月31日で解散する議案と、組合の財産処分に関する議案が可決されました。また、白石市議会では、市立病院を設置するために必要となる「白石市病院事業の設置等に関する条例」も可決。これにより、令和5年4月1日から、刈田病院は市立病院として白石市に引き継がれることとなりました。

解散議案可決に先立ち、10月17日に組合臨時会が開催され、奈良県奈良市の医療法人仁誠会(今村豪理事長。以下「仁誠会」)を指定管理者とする議案が可決され、11月17日、仁誠会と組合において、業務内容や管理物件、指定期間、指定管理者委託料、利用料金に関することなどを盛り込んだ「管理運営に関する基本協定書」が締結されました。

明治15年に宮城県立宮城病院白石分院として開設された刈田病院は、「思いやりのある良質で信頼される医療」を理念として、住民の命と健康を守るため、地域の基幹病院としての役割を担ってきましたが、平成14年に新築移転後、医師不足や現在の刈田病院を建設した際の借入金の返済などが重なり、赤字分を1市2町からの繰入金で補てんする経営が常態化しました。

このことから、経営形態の見直しを含めた抜本的な改革が必要となったため、組合と1市2町で協議を重ねてきた結果、刈田病院は市立病院・公設民営で再出発することとなりました。

公設民営(指定管理者制度)は、設置者は地方公共団体のままで、管理・運営を民間法人などの指定管理者に行わせることができる地方自治法上の制度です。令和2年度末現在、指定管理者制度を導入している公立病院は全国に79病院あり、経営改善や医療従事者の安定的な確保などの効果が報告されています。

刈田病院は、「公立病院」として救急医療などの政策医療を確保するとともに、みやぎ県南中核病院との「連携プラン」に基づく医療機能の分化や連携を推進するため、民間的経営手法を活用することで、地域の基幹病院として将来にわたって持続可能な医療体制を構築してまいります。

基本協定締結式の写真

▲ 11月17日に刈田病院で開催された仁誠会との基本協定締結式で今村理事長(右)と固い握手を交わす山田市長

​​刈田病院に関する説明会、地区懇談会を開催

仁誠会が刈田病院の指定管理者に指定されたことを受けて、11月13日に、中央公民館で「公立刈田綜合病院に関する住民説明会」、11月18日から12月1日にかけて、白石市自治会連合会白石支部や市内各地区で「市長との地区懇談会」を開催。山田市長が、令和5年度以降の刈田病院の方向性について説明しました。

市民など115人が参加した住民説明会で、山田市長は、指定管理者の募集に当たり、病院運営の要望水準の基礎となる新しい病院のコンセプトとして「住民のための病院づくり」、「地域ニーズに的確に対応した病院づくり」、「医師・看護師をはじめとする医療従事者の確保・育成」を掲げたことを紹介。仁誠会の病院運営の提案内容に対し、参加者から寄せられた令和5年度からの診療体制や救急医療体制などの質問について、「現行の診療体制の維持と午前・午後を問わない診療体制の構築」、「24時間365日の内科系救急体制の維持と一定程度の外科系救急体制の実現」などに向けて、仁誠会との管理運営に関する基本協定において、しっかり対応していくことを説明しました。

公立刈田総合病院に関する住民説明会の写真

▲ 11月13日に開催した住民説明会では指定管理者制度導入の経過や4月以降の病院運営について説明をしました

これからも地域の基幹病院として

令和5年4月1日から、刈田病院は白石市立の病院として指定管理者制度を導入し運営を開始することから、現在、仁誠会・組合・白石市において、刈田病院の新たな出発に向け、引き継ぎを行っているところです。

地域医療を取り巻く環境は日々変化しており、特に、団塊の世代が75歳を迎える令和7年には、疾病構造が大きく変化すると予測されています。そのような中、刈田病院は変化に確実に対応し、仙南地域のニーズを踏まえた医療を住民に提供しなければなりません。

引き続き、刈田病院が地域の基幹病院としての使命を果たすことができるよう、関係機関と協力しながら準備を進めるとともに、今後も刈田病院の状況を広報しろいしやホームページなどでお知らせしてまいります。

法人概要

仁誠会は、奈良県奈良市に拠点を置く法人で、病院1つと介護施設2つを運営する法人です。

また、仁誠会の運営母体は、北海道から沖縄まで全国22法人47施設を運営するIMG(今村メディカルグループ)で、総職員数約3,500人、総病床数約3,100床。幅広いネットワークで各分野のプロフェッショナルが多数在籍し、病院運営や介護施設の運営実績・知見を有するグループです。

●法人名称 医療法人仁誠会
●所在地 奈良県奈良市
●理事長 今村 豪

「仁誠会」からの病院運営に関する提案(抜粋)

「仁誠会」からの病院運営に関する提案(抜粋)
診療科

●現行の診療体制の維持

●「連携プラン」必置科目を優先的に構築

外来診療機能

●午前・午後を問わない診療体制の構築

●腎・透析センター機能の維持・拡充

救急機能

●内科系救急体制(24時間・365日)の維持

●一定程度の外科系救急体制の実現

周産期機能

●常勤医の確保、婦人科外来診療の継続

●令和6年度からの分娩・入院診療開始

地域医療全体の質の向上

●地域の医療機関や介護福祉施設との連携

●みやぎ県南中核病院との医療連携

医療従事者の確保・育成

●看護実習生の受け入れ

●総合診療医、認定看護師の育成